おわりに
5か年間の行政情報化推進計画の初年度である平成7年度は、2次にわたる補正予算による財政面の裏付けもあって、各省庁における積極的な取り組みの結果、情報化の物理的な基盤整備については大きな成果があり、平成6年度以前と比べると見違えるばかりの状況となった。
しかし、パソコンやLANの整備といった基盤整備のみが行政情報化の目的ではない。行政の情報化の最終的な目的は、情報通信技術の成果を基盤整備として導入するとともに、これら基盤の積極的な活用によって、行政の質の高度化、国民サービスの質的向上を図り、国民の立場に立った効率的で効果的な行政の実現にある。
その意味では、行政の情報化は未だ緒についたばかりである。今後、この基盤を「行政の事務・事業及び組織を通じるシステムを改革」するための手段として位置付け、実効あるものとしていくためには、各種のアプリケーションの整備のみならず、情報化に向けた職員の意識の改革、制度・慣行全般の見直しを進めていくことが重要である。
また、行政の情報化を継続して推進していくためには、その効果を定量的・定性的に評価し得るしくみを導入することが重要であり、今後、その評価指標の設定に向けて検討を進めていく必要がある。
さらに、現在、行政情報公開制度の在り方について各方面で真剣な議論がなされており、今後制度の整備に向けた準備が開始されるが、行政の情報化の推進は、行政情報公開制度を実効あるものとするためにも、重要な位置を占めるものである。今後は、行政情報公開制度をも視野に入れながら、総合的な文書管理の在り方・案内機能等についても行政情報化の重要課題として検討を進めていく必要がある。
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